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人と人との「壁」 取り払う

更新日:6月22日

Naoko女性クリニック 院長 髙宮城 直子(フェムシップドクター推進本部 本部長)

 

沖縄タイムス コラム「うちなぁ見聞録」 2024.01.27



フェミニズムの理念


上野さんといえば、著書「おひとりさまの老後」と、2019年の東大入学式の祝辞が有名な方です。これまでになかった「女性学」という学問をつくられた東大名誉教授です。


インターネットのなかった私の学生時代に、新聞や書店で先生が書かれたものを見つけては読んで、女性の置かれている立場や、これまでの女性たちが歩んできた歴史を知り、自分が女性としてどう生きて、社会に出ていくかを考えさせられました。


私は1986年に大学卒業しました。ちょうど1985年に男女雇用機会均等法が制定された頃です。その頃の女性は、会社では男性の補助的な仕事をして、結婚したら退職するのが一般的な時代でした。


お茶くみ、コピー、寿退社というイメージでした。男女雇用機会均等法ができて、女性に「一般職」と「総合職」と二つのコースができました。しかし、「総合職」を選ぶと長時間労働や転勤があったりして結局、結婚や出産をしてからは仕事を続けにくいことが多かったです。


最近は育休や転勤のない雇用ができ、改善しつつありますが、まだ女性は非正規雇用が多い現実があります。


上野さんが講演の中で冗談っぽく「私たちフェミニズムの成果は"お茶くみ"をなくしたことです」と笑いながら、おっしゃっていました。


「フェミニズム」というと、「男女平等」「女性の地位向上」をうるさく言っているというイメージを持たれる方が多いと思いますが、実は「弱者が弱者のままで尊重される社会」を目指しているのだそうです。つまり、女性のみならず、全ての人にあてはまる考え方です。平等に何でも同じ扱いにすることではなく、強者と弱者の間のみならず、ダイバーシティ(多様性)社会で、いろいろな立場の人の間にある「壁」、つまり「障壁」を取り払うことを目指しているのです。


上野さんは「女の子の育て方、そして、ついでに男の子の育て方」という講演をしてくださり、その中で「女の子だから〜しなくていい」「女の子はあまり発言しないで、かわいくしていなさい」などというような声かけや、社会のアンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)によって「娘の翼を折らないでください」とおっしゃっていました。


興味のある方は、「2019年東大入学式祝辞」をぜひ検索してお読みください。そこに上野さんの考え方が凝縮されております。


上野さんの講演を聴き、私はさまざまな問題を抱える女性たちのために「女性ヘルスケア」の立場から、さらに尽力したいという決意を新たにしました。


(「Naoko女性クリニック」院長) = 第2・第4土曜日掲載





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